(3)Pages | Fukuoka Art Book Fair 2026

イベント

Talk: Tell us about your “Local Publish-ing” Part.1

日時:5月30日(土)11:30-12:30
会場:太宰府天満宮 文書館
登壇者:Min Guhong, Lim Kyung Yong(The Book Society/Mediabus)
モデレーター:三好剛平
参加費:無料
予約サイト:https://peatix.com/event/5012056/view
*事前予約制、スペースがありましたら当日参加も可能です。

現在では「出版する」「公開する」という意味で用いられる「Publish」という言葉の語源は、「公の( Publicus )場所をつくる」「人々へ知らしめる」であり、印刷術の普及以前には、詩や書物を人々に向けて朗読し広める行為に使われていたともいわれています。
「Publish」を広義に捉えると、出版という形式に限定することなく、自身で場や機会を興し、大切な何かを人々へ伝え・知らしめることも含まれるのではないでしょうか?

アジアからの出展者が多いのがPages | Fukuoka Art Book Fairの特徴のひとつです。 本トークプログラムは2部編成で、アジアからの出展者をゲストに迎え、改めてその 「Publish」の原義に立ち返りながら、それぞれの地元に根ざした Local Publish-ingな活動を行う出展者たちとの対話をお届けします。

第一部では、韓国を拠点とするミング・ホンとイム・ギョンヨンをゲストに迎え、彼らがこれから立ち上げようとするプラットフォームについて話します。

彼らの活動は、もともとアジアの出版シーンに対する問題意識から始まりました。イム・ギョンヨンは、2020年に刊行した『Publishing as Methogds』や、2025年の「BookBook Festival」などを通して、アジアのインディペンデント出版ネットワークとその可能性に継続的な関心を寄せてきました。

「なぜアジアなのか?」あるいは「アジアとは何を意味するのか?」という問いがあるかもしれません。ここでいうアジアとは、固定されたアイデンティティや本質ではなく、竹内好が『方法としてのアジア』で提起した批判的な立場に近いものです。彼は1961年の講演において、アジアを探究されるべき本質ではなく、ひとつの方法として捉えました。魯迅の思想を引き継ぎながら、竹内は西洋中心主義と、それが前提とする普遍性に亀裂を入れるための実践的概念としてアジアを思考しようとしました。

そうであるならば、「アジア出版」や「アジアのインディペンデント出版」とは何か、という問い自体が、もしかすると最初から誤った問いなのかもしれません。重要なのは、ある固定された実体を定義することではなく、現在のアート出版が持つ制度的・経済的・文化的な中心性に対して、どこから、どのように批判的な位置を確保できるかということだからです。もちろん、それはアジアの出版がそのまま代案になるという意味ではありません。それをひとつの本質やモデルとして固定した瞬間、再び別の中心が生まれてしまうからです。

このような文脈において、ウィキは非常に興味深いツールになります。ウィキは本質的に分散的であり、中心を持たず、絶えず修正され拡張されていく構造を持っています。この性質は、ゆるやかにつながる小規模出版シーンの動きともよく呼応しています。また今は、これまで蓄積してきた情報や知識、経験や試行錯誤を、互いに共有する必要がかつてなく高まってます。ウィキは、そのためのひとつの実践的な形式となり得るでしょう。

今回のトークでは、ミン・グホンとイム・ギョンヨンが、「アジア小規模出版のためのウィキ(仮)」の可能性や活用方法について話し合います。この場に参加するすべての人は、一人のユーザーであると同時に、コントリビューターになることができます。そしてこの場所を通して、必要でありながらあまり共有されてこなかったさまざまな感覚や情報を、少しずつ結びつけていけるはずです。もちろん、これはやや理想主義的な提案に聞こえるかもしれません。しかし、この試みは、成功か失敗かという単純な基準だけでは測れない種類の実験になるでしょう。多くの方々のご参加をお待ちしております。

Min Guhong(ミン・グホン)
ソウルを拠点に活動するライター、編集者、デザイナー、プログラマー、教育者であり、AG Labのディレクターを務める。中央大学で文学と言語学を学び、その後、School for Poetic Computationでコンピュータ・プログラミングを学ぶ。執筆、出版、デザイン、アート、ウェブ制作までを横断する一人会社「Min Guhong Manufacturing」を主宰。また、フラットファイル型PHP Wikiエンジン「WikiWikiWiki」の開発者でもある。

Lim Kyung yong(イム・ギョンヨン)
韓国芸術総合学校にて映画理論の専門課程を修了後、韓国映画アカデミーでプロデュースを学ぶ。これまでに映画祭、メディアセンター、出版社、ビエンナーレなど、多様な文化領域で活動してきた。2008年にはク・ジョンヨンとともにインディペンデント出版社「Mediabus」を共同設立。2010年からは、ブックショップ兼プロジェクトスペース「The Book Society」を運営している。また、アーティスト/キュレーターとしても数々の文化・芸術プロジェクトに参加しており、主な参加歴に『The Most Beautiful Books in Korea 2010』(Seogyo Art Experiment Center, 2011)、『Life: A User’s Manual』(Culture Station Seoul 284, 2012)、『The Xerox Project』(Nam June Paik Art Center, 2015)、『Graphic Design, Seoul, 2005–2015』(Ilmin Museum of Art, 2016)、『Artists’ Documents: Art, Typography, and Collaboration』(国立現代美術館, 2016)などがある。


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